XSからパッケージを作成する
多くのPerlパッケージはPerlスクリプト(PMファイル)で作成される。
h2xsコマンドで作成されるXSの初期ビルド環境でも1つのPMファイルが用意され、そのPMファイルがpackage命令によってパッケージを作成する。
単一のパッケージを作成する場合はこの方法で完結するのだが、1つのパッケージに多数のサブパッケージが付随する場合、それらのサブパッケージごとにXSのビルド環境を用意するよりも、XSから動的にサブパッケージを作成した方が効率的かつ高速で、管理も楽である。
以下の例では、Pkg1::initサブルーチンを呼び出ことにより、Pkg1::Sub1パッケージを生成し、次にPkg1::Sub1::helloを呼び出すことによってAUTOLOADの仕組み(呼び出されたサブルーチンがないときに同じパッケージのAUTOLOADサブルーチンが呼び出される仕組み)が働き、Pkg1::Sub1::helloサブルーチンのエントリが動的に作成される。
/* h2xs -n Pkg1 */ #include "EXTERN.h" #include "perl.h" #include "XSUB.h" /* * h2xsコマンドが生成する部分 * : * : */ XS(XS_Pkg1_Sub1_hello) { dXSARGS; printf("hello world\n"); XSRETURN_EMPTY; } XS(XS_Pkg1_Sub1_autoload) { dXSARGS; int i; for (i = 0; i < items; i++) { printf("ST[%d]:%s\n", i, SvPV_nolen(ST(i))); } newXS("Pkg1::Sub1::hello", XS_Pkg1_Sub1_hello, __FILE__); XSRETURN_EMPTY; } MODULE = Pkg1 PACKAGE = Pkg1 /* * h2xsコマンドが生成する部分 * : * : */ void init() CODE: perl_eval_pv("\ package Pkg1::Sub1; \ sub AUTOLOAD \ { \ Pkg1::Sub1::autoload($AUTOLOAD); \ goto &$AUTOLOAD; \ } \ 1; \ ", 1); newXS("Pkg1::Sub1::autoload", XS_Pkg1_Sub1_autoload, __FILE__);
上記のXSをビルドして、以下のスクリプトを実行する。
#!/usr/bin/perl -Iblib/arch -Iblib/lib use Pkg1; Pkg1::init(); Pkg1::Sub1::hello(); Pkg1::Sub1::hello();
出力結果は以下の通り。
ST[0]:Pkg1::Sub1::hello hello world hello world
2回目に呼び出したPkg1::Sub1::helloサブルーチンのエントリが作成済みであることが分かる。
上記のテクニックはC++のクラスを簡単にパッケージとして表現する手段として利用できるはずである。