Wikipediaから学ぶ放射線について
今回の福島原発事故について、各種メディアでは色々と報道しているが、今まで知らなかった単位が常識のごとく使われており、その科学的な意味を報じられることがほとんどないので、主にWikipediaから自己学習して見た。
言うまでもないが、自己学習なので間違っている可能性は十分にある。
放射性物質
「wikipedia:放射性物質」によれば、放射性物質とは放射線を出す活性力(放射能)を持つ物質のこと。
日常で出くわす可能性の高い代表的なものが「放射性物質便覧」に載っている。
ページの後半にとても分かり易い説明が記載されている。
※α線、β線、γ線を宇宙戦艦ヤマトの砲撃に例えたところなどは見事だ。
α線、β線、γ線
- 「wikipedia:アルファ線」によれば、α線とは高い運動エネルギーを持つヘリウム4原子核(アルファ粒子)の流れのこと。
宇宙戦艦ヤマトで言えば、「波動砲(一点集中攻撃、破壊力大、射程短い)」。 - 「wikipedia:ベータ線」によれば、β線とは原子核(中性子)がベータ崩壊する際に高速で放出される電子(陽電子)の流れのこと。
宇宙戦艦ヤマトで言えば、「拡散波動砲(広範囲攻撃、破壊力大、射程短い)」。 - 「wikipedia:ガンマ線」によれば、γ線とは放射性物質が崩壊して質量や陽子・中性子の比率が変わった後、原子核が安定に向かうために放出された過剰エネルギーで、波長がおよそ10pmよりも短い電磁波のこと。
宇宙戦艦ヤマトで言えば、「レーザー砲(貫通攻撃、破壊力並、射程長い)」。
どう考えても、宇宙戦艦ヤマトの砲撃に例えた方が分かり易い。
大量にくらえば、どれも致命的になる。
放射線の致死量
「wikipedia:ガンマ線」の「他の放射線との比較」には「ガンマ線の持つ電離作用により、DNAを傷つけることによる発がん作用などがある。致死線量は6グレイ前後である。」と記載されている。
「wikipedia:シーベルト」の「放射線防護とシーベルト」には「放射線を短期間に全身被曝した場合の致死線量は、5%致死線量が2Sv、50%致死線量(LD50)が4Sv、100%致死線量が7Svと言われている。」と記載されている。
MeVと言う単位
MeVとは「メガ(ミリオン)、電子(エレクトリック)、ボルト」の頭文字から取った素粒子のエネルギーの単位である。
放射線のエネルギーを表す単位でもある。
「wikipedia:電子ボルト」の「関連項目」にエネルギー単位の変換表が記載されている。
以下はジュールとメガ電子ボルトの関係式である。
1J=6.241×10の12乗MeV
シーベルトとグレイ
「wikipedia:シーベルト」によれば、シーベルトとは生体への被曝の大きさの単位のこと。
「wikipedia:グレイ_(単位)」によれば、グレイとは吸収線量のことで、放射線によって1キログラムの物質に1ジュール(6.241×10の12乗MeV)の放射エネルギーが吸収されたときの吸収線量を1グレイと定義する。
「wikipedia:シーベルト」の「シーベルトとグレイ」には、シーベルトとグレイの関係がある程度分かり易く説明されている。
Sv=放射線荷重係数×Gy 放射線荷重係数:放射線の種類によって異なる。 α線の場合 :Sv=20Gy、Gy=Sv/20 β、γ線の場合:Sv=Gy
プルトニウムなどが出すアルファ線の場合は0.3シーベルト、ヨウ素やセシウムなどが出すベータ線とガンマ線の場合は6シーベルトが、全身被爆時の致死線量となる計算だ。
つまり、放射線の種類によってシーベルトで表す致死線量が異なることになる。
ベクレルとシーベルト
「wikipedia:ベクレル」によれば、ベクレルとは放射能(放射線を出す活性力)の量を表す単位のこと。
放射性物質の種類やそれまでの距離、間にある遮蔽物の効果により、ベクレル(放射能量)からシーベルト(被爆量)やグレイ(吸収線量)に単純計算することはことはできない。
今のところ、内部被爆におけるベクレルからシーベルトへの簡易換算(変換比率)が探せた放射性物質は以下の通り。
放射性物質 | 経口被爆 | 吸入被爆 |
---|---|---|
ヨウ素129 | 0.11 | 0.036 |
ヨウ素131 | 0.022 | 0.0074 |
ヨウ素133 | 0.0043 | 0.0015 |
セシウム134 | 0.019 | 0.02 |
セシウム136 | 0.003 | 0.0028 |
セシウム137 | 0.013 | 0.039 |
ルテニウム103 | 0.00073 | 0.003 |
ルテニウム106 | 0.007 | 0.066 |
テルル129 | 0.000063 | 0.000039 |
テルル132 | 0.0038 | 0.002 |
ウラン235 | 0.047 | 8.5 |
ウラン237 | 0.00076 | 0.0019 |
ウラン238 | 0.045 | 8.0 |
上記の表は、1ベクレル当たりの被曝量が何マイクロシーベルトになるか(1Bq:nμSv)を示している。
飲み込んだ場合(経口被爆)と吸い込んだ場合(吸入被爆)では被曝量が異なる。
半減期
「wikipedia:半減期」によれば、半減期とは放射性物質(放射性核種あるいは素粒子)の半分が崩壊して別の物質(核種あるいは素粒子)に変わるまでの期間のこと。
放射性物質ごとに半減期は異なり、短い方が短時間により多くの放射線を出す。
若干無茶なまとめ
「放射性物質」は(ヨウ素131やセシウム137のように)色々な性格を持った「暴徒」だと言える。
「水1リットルに1万ベクレルが検出されました」と言う場合、「東京ドームに暴徒が1万人集まりました」と言うことと同義である。
その中には大いびきで寝ているもの、猛然と暴れ始めたもの、暴れている最中のものがいるが、等しく1万人の中に数えられている。
ただし、暴れた後で更生したもの(崩壊後に安定同位体へ遷移したもの)は無害なので1万人の中に含まれない。
「ある地点で10ミリシーベルト検出されました」と言う場合、「新宿の裏通りで合計10人力の暴徒がサラリーマンに乱暴を働いている」と言うことと同義である。
注意して欲しいのは10人力であって人数が10人ではない。
3人力の力士崩れが1人、2人力の暴力団員が2人、1人力の不良少年が3人の合計6人でも10人力である。
………我ながら最悪なこじつけである。